「公務員保健師を続けるのは精神的にも体力的にも厳しい…」
「辞めたい気持ちはあるけど、辞めたら後悔しないか不安…」
そんなふうに感じている保健師さんも多いのではないでしょうか。
理想を抱いて保健師になったものの、実際には過酷な業務や人間関係、報われにくい仕事の現実に直面して「辞めたい」と感じてしまうのは自然なことです。
この記事では、公務員保健師を辞めたいと感じる理由を整理し、後悔しないためのポイントを詳しく解説しています。
公務員保健師が辞めたいと感じる理由
公務員保健師が退職を考える主な理由は次のとおりです。
- 業務負担が大きい
- 人間関係や職場の雰囲気に悩んでいる
- 仕事にやりがいを感じにくい
- 精神的・身体的に限界を感じている
- 給与や待遇が労働に見合わない
それぞれの理由について、実際の声とともに見ていきます。
業務負担が大きい
行政保健師の業務は多岐にわたります。感染症対策、クレーム対応、健康相談、訪問指導、各種統計処理など、専門的かつ事務的な業務を並行して抱えることが日常的です。特に感染症の流行時期や年度末などは、急な対応や長時間労働が常態化しやすく、心身への負担が大きくなります。
業務の優先順位をつけづらく、「やりきった」という達成感を得にくい状況に置かれることも、慢性的な疲労感やモチベーションの低下につながります。
保健師は続けたい大好きな仕事だけど、今の職場は辞めたい! 急変時対応と救急調整、クレーム対応、疫学調査に立入り指導に事務作業まで…
(出典:X(旧Twitter)@healthnursevoice)
人間関係や職場の雰囲気
特に新人や若手の保健師は、教育体制や支援体制が不十分な環境では、孤立感や不安を抱えがちです。
指導が形式的で、相談しづらい雰囲気があると、業務に対して強い不安を感じるようになることもあります。
そのような状況が続くと、日々の仕事に集中できず、離職を考えるきっかけになりかねません。
先輩(2年目)から『もう辞める』と言われました。ここ数年の新人の3年以内離職率は100%で、今以上に大変になるとも言われました。職場ではみんながヒソヒソ話していて辛いです。
(出典:Yahoo!知恵袋)
学生の頃から保健師になりたくてやっと保健師の仕事に就くことができましたが環境も保健師の人間関係 も良いとは言えないです。
(出典:Yahoo!知恵袋)
仕事にやりがいを感じにくい
行政保健師の仕事は、住民の健康を守るという使命がある一方で、その成果が目に見えにくく、モチベーションの維持が難しいことがあります。事務作業や制度対応などに多くの時間を割かれ、理想としていた住民支援の実感が持てず、やりがいを見失ってしまうケースもあります。
地域住民の健康に貢献したくて保健師になったのに、今は自信をなくしてお荷物に感じています。毎日怒られてばかりで、自分が何の役にも立っていないように思えて苦しいです。
(出典:Yahoo!知恵袋)
精神的・身体的な限界
行政保健師は責任の重い業務を日常的に担っており、住民対応や緊急対応、感染症関連の調査など、緊張感のある場面も少なくありません。
さらに感染症蔓延時の人員不足や繁忙期による長時間労働が重なることで、身体だけでなく精神的にも限界を迎え、退職を選ばざるを得ないと感じることがあります。
コロナの流行で80~100時間の残業。市役所は慢性的な人手不足で、この生活が一生続くと思うと、仕事自体が嫌いになってしまいそうだったので退職を決めました。
(出典:note.com)
給与や待遇の不満
行政保健師は、看護師と保健師の両方の国家資格を取得し、さらに公務員試験に合格することで就ける専門職です。しかし、その専門性や責任の重さに対して、給与面の待遇に物足りなさを感じる人もいます。
特に病棟勤務の看護師から転職した場合、夜勤がない分、手取り収入が下がることがあります。
行政保健師って看護師免許も保健師免許も持ってて、公務員試験も受からないとなれないのに、日勤のみだからって地方では手取り20万前後なの夢が無さすぎる………………
— ????️ (@saiai__saiaku) July 21, 2024
看護師やめる直前は夜勤6回入って手取り27万円くらい。行政保健師に転職して最初は手取り23万円くらい。夜勤手当分減りましたが、職位が上がって26万円くらいになりました。夜勤なしでこの差なら全然いいなぁと思ってます。これからも職位は上がるので。#保健師 #行政保健師 #給料
— アカリ (@possibly_Ns) December 18, 2023
辞める前に考えておきたい5つのポイント
辞めたい気持ちが強くても、衝動的な決断は後悔につながることもあります。以下の5つの観点から、一度立ち止まって状況を整理してみてください。
- 異動の可能性を探る
- 上司や信頼できる人に相談する
- 自分の優先事項を整理する
- 公務員のメリットと比較する
- 転職先の選択肢を調べてみる
異動の可能性を探る
職場環境に起因する悩みがある場合、異動によって状況が改善されることがあります。
自治体によっては、本人の希望や事情を考慮した異動制度が設けられており、働く環境や業務内容、人間関係のストレスが軽減されるケースもあります。
現職を辞める前に、まずは異動の可能性について確認し、選択肢を広げておくことが重要です。
上司や信頼できる人に相談する
「辞めたい」と感じている気持ちを、上司や信頼できる同僚に打ち明けることで、気持ちが整理されることがあります。
職場での悩みは一人で抱え込まず、信頼できる誰かと共有することで、思わぬ助言や具体的な対応策が得られる場合もあります。
自分の優先事項を整理する
何が一番のストレス要因になっているのか、どのような働き方を大事にしたいのか、自分自身の価値観や希望を紙に書き出してみましょう。
心の中でモヤモヤしていたことが可視化されると、悩みの本質が見えやすくなり、判断がしやすくなります。
公務員のメリットと比較する
退職金や有給休暇の取りやすさ、産休・育休制度の充実など、公務員には特有の安定した待遇があります。
公務員保健師として働くメリット:
- 地域貢献性が高い:地域住民の健康づくりに直接関われるため、公共性の高い仕事に携われる
- 夜勤やシフト勤務が少ない:日勤中心の勤務体系で、生活リズムが整えやすい
- 雇用の安定性が高い:民間企業と比べて倒産や急な人員整理のリスクが低い
- 福利厚生制度が整っている:産休・育休、介護休暇、各種休暇制度が明文化されており、利用しやすい
辞めたい気持ちとあわせて、これらのメリットを失ったときに本当に後悔しないかどうか、冷静に比較検討することが大切です。
転職先の選択肢を調べてみる
保健師資格は医療・福祉・教育・企業分野など、多様な職場で活かせる強みがあります。
転職後のイメージが湧かずに不安を感じる場合もあるため、具体的な求人情報や転職体験談に触れておくと、いざというときの備えになり、安心感にもつながります。

保健師の経験を活かせる転職先の選択肢
保健師の資格や経験は、行政以外のさまざまな職場で活かすことができます。以下は、実際に転職先として選ばれている代表的な例です。
- 産業保健師
- 病院内の健康管理室
- 学校保健師(養護教諭)
- 民間の保健指導・健診関連業務
以下、それぞれ詳しく解説します。
産業保健師
企業内で従業員の健康管理を担う職種です。
健康診断後のフォローやストレスチェック対応、面談業務などが主な仕事になります。
定時で帰れる企業も多く、ワークライフバランスを重視したい人に適しています。
病院内の健康管理室
医療機関に勤める職員向けの健康相談や衛生管理を行います。
臨床経験を活かしながら、患者対応ではなく職員のサポートに集中できる点が特徴です。
落ち着いた環境を望む方に向いています。
学校保健師(養護教諭)
小中高などの教育現場で、生徒や教職員への健康指導、応急処置、保健室運営などを行います。
子どもとの関わりが好きな方にとっては、やりがいを感じやすい職場です。
民間の保健指導・健診関連業務
特定保健指導や健診センターでの面談業務など、予防医療に関わる仕事です。
企業や保険者との連携が必要なケースもあり、コミュニケーション能力や柔軟性が求められます。

転職を真剣に考えるべきタイミングとは?
辞めたい気持ちが強くなるときには、冷静な判断が難しくなることもあります。そこで、次のような状況に当てはまる場合は、転職を前向きに検討するタイミングといえるでしょう。
- キャリアアップを目指したいと感じている
- 今の仕事にやりがいを見出せない
- 心身ともに限界を感じている
以下、それぞれの状況について詳しく解説します。
キャリアアップを目指したいと感じている
今の職場ではスキルアップや責任ある業務を任される機会が少なく、自身の成長が見込めないと感じる場合、新しい環境に身を置くことが選択肢になります。特に専門性を活かせる現場を望む人にとっては重要な判断材料です。
今の仕事にやりがいを見出せない
毎日の業務に目的を見いだせず、「このままでいいのか?」という疑問が常に頭をよぎるようであれば、それは職業的な違和感のサインかもしれません。
「やりがい」よりも「辞めたい」が日常の感情になっているなら、別のフィールドで自分の力を活かす選択肢を検討する時期といえるでしょう。
毎日の業務に目的を見いだせず、「このままでいいのか?」という疑問が常に頭をよぎるようであれば、それは職業的な違和感のサインかもしれません。別のフィールドでやりがいを見つけたいと思ったときが転機です。
心身ともに限界を感じている
不安感、倦怠感、睡眠の質の低下など、身体的・精神的に支障が出ている場合には、無理をせず休職や転職といった手段を取ることが望ましいです。
特に医療機関を受診しているような状態であれば、現状維持はリスクとなる可能性があります。今後の働き方を見直すタイミングかもしれません。
まとめ
公務員保健師として働く中で「辞めたい」と思うのは、決して特別なことではありません。
むしろ、同じような悩みを抱えている人は多くいます。
ただし、後悔しない選択をするためには「なぜ辞めたいのか」を明確にすることが大切です。その上で、異動や相談などで現状が改善される可能性があるかを検討し、冷静に選択肢を広げてみてください。
自分自身の心と身体を守ることを何より大切にしてください。
もし転職を視野に入れているなら、保健師経験者向けの求人をまとめた転職サイトをチェックしてみるのもおすすめです。選択肢を具体的に知ることで、将来への不安が少し軽くなるかもしれません。
