「なぜ看護師の職場はこんなにドロドロした人間関係になりやすいのだろう…?」
「どうすれば今の状況を改善できるのだろう?」
こうした悩みを抱えている看護師さんは少なくありません。
どんなに患者さんのために頑張っていても、職場の人間関係がうまくいかなければ、仕事へのモチベーションは下がってしまいます。
この記事では、看護師の職場でよく見られる人間関係のトラブルとその原因、そして具体的な対処法を紹介します。
看護師の職場でドロドロの人間関係が生まれる理由
看護師の職場で人間関係がうまくいかない背景には、いくつかの要因があります。
- 女性が多い職場特有のコミュニケーション問題
- 命を預かる緊張感からくるストレス
- 人員不足による過酷な勤務環境
- 厳しい上下関係や派閥の存在
- それぞれの看護観(看護に対する考え方)の違い
- シフト制による情報の偏り
これらの要因について詳しく見ていきましょう。
女性が多い職場特有のコミュニケーション問題
看護師は女性が多い職場です。女性社会では細かなコミュニケーションが重視される傾向があります。
「あの人、○○の仕方が気に入らない」「先輩への対応が失礼だった」など、些細な言動が噂話や陰口につながりやすいのです。
また「お局」と呼ばれるベテラン看護師との関係が、職場での立ち位置を決めることもあります。
命を預かる緊張感からくるストレス
看護師は患者さんの命を預かる責任の重い仕事です。常に緊張感を持って働く必要があります。
この緊張感は大きなストレスとなり、心に余裕がなくなると同僚への配慮が足りなくなったり、ちょっとしたことで感情的になったりしやすくなります。
人員不足による過酷な勤務環境
多くの医療機関では看護師の人手不足が問題となっています。
限られたスタッフで業務をこなすため、一人あたりの負担が増え、夜勤や残業が多くなります。
疲労やストレスが溜まると、同僚とのコミュニケーションにも悪影響を及ぼします。
厳しい上下関係や派閥の存在
医療現場では経験年数や役職による上下関係が明確な傾向があります。
意見が言いにくい職場風土では、不満が溜まりやすく、結果的に人間関係が悪化します。
また、ベテラン看護師を中心とした派閥が存在する職場も少なくありません。
それぞれの看護観の違い
看護師には、患者さんへの向き合い方や仕事の進め方など、それぞれが大切にしている「看護観」があります。
この考え方の違いが、対立や苦手意識を生むことがあるのです。
シフト制による情報の偏り
看護師はシフト制で働くため、全員が同時に勤務することはありません。
このため、休みの人の悪口が言いやすい環境になったり、情報共有が不十分になったりすることがあります。
ドロドロとした人間関係の具体例
では、実際にどのような「ドロドロ」した状況が起きているのでしょうか。
これらの状況が続くと、職場に行くのが辛くなり、最終的には離職につながることもあります。
人間関係の悩みがもたらす影響
看護師の「ドロドロ」とした人間関係は、さまざまな悪影響を及ぼします。
心身の健康への影響
人間関係のストレスを抱えながら働き続けると、あなたの心と体に大きな負担がかかります。
普段は患者さんのケアに全力を注ぐあまり、自分自身の健康サインを見逃しがちです。朝、職場に向かうときに胸が締め付けられるような感覚や、仕事中に突然涙が出そうになるといった経験は、心の声に耳を傾けるべきサインかもしれません。
この状態が続くと、単なる体調不良だけでなく、長期的な健康問題につながる可能性もあります。あなたが患者さんのためにベストを尽くすためにも、まずは自分自身を大切にすることが必要です。
仕事の質への影響
人間関係に悩んでいると、仕事に集中できなくなります。
患者さんのケアに全力を尽くせず、ミスが増える可能性もあるでしょう。
また「この職場にはもう長くいられない」と感じ、転職を繰り返すことになれば、スキルアップの機会も減ってしまいます。
看護師としての自信の喪失
周囲から否定的な言葉を浴びせられ続けると、「自分はダメな看護師なのではないか」と自信を失ってしまいます。
本来持っている能力や可能性を発揮できないまま、看護師を辞めてしまう人も少なくありません。
職場の人間関係を改善するための対策
では「ドロドロ」とした人間関係を改善するには、どうすればよいのでしょうか。次の対策は、すべてを一度に実践する必要はありません。あなたの状況に合ったものから、少しずつ取り入れてみてください。
以下に具体的な対処法をご紹介します。
自分の言動を振り返る
まずは自分自身の言動を振り返ってみましょう。
「私のどこがいけないんだろう…」と考えてしまうかもしれませんが、これは自分を責めるためではなく、改善のきっかけを見つけるためです。
例えば、忙しい時の報告の仕方や質問のタイミング、申し送りの内容など、少し変えるだけで周囲の反応が変わることがあります。無理に自分を変える必要はありませんが、円滑なコミュニケーションのためのヒントが見つかるかもしれません。
相手の看護観を理解しようとする
同僚や先輩の看護に対する考え方(看護観)を理解しようと努めましょう。
「なぜあの先輩は私のケア方法にいつも口出ししてくるの?」と感じることはありませんか?
実は、看護に対する考え方や大切にしていることは人それぞれです。ベテラン看護師が「患者さんの安全を最優先する」ため細かく指導するのに対し、あなたは「患者さんの自立を支援したい」と考えているかもしれません。
相手の看護観を理解しようとする姿勢を見せることで、「学ぼうとしている」と認めてもらえることもあります。
心と体を守るための距離感を保つ
職場の人間関係に深入りしすぎないことも大切です。
仕事とプライベートの境界線をはっきりさせましょう。病院を出たら、職場での出来事や感情をいったん置いていく習慣をつけると、心の負担が減ります。趣味や家族との時間など、自分を癒す時間を大切にしてください。
「職場の人間関係にすべてを捧げなくていい」ということを覚えておいてください。
自分を守るメンタルを育てる
すべての言動や出来事を真に受けすぎないことも大切です。
「あの発言は私を傷つけるためではなく、相手が疲れていただけかもしれない」「これは私個人の問題ではなく、システムの問題かもしれない」と考えられるようになると、心が少し軽くなります。
完璧な看護師である必要はありません。あなたは十分頑張っているのです。
小さな光を灯すような態度で接する
重い雰囲気の職場でも、あなたが変化の種をまくことができます。
朝の「おはようございます」、患者さんとの関わりの後の「ありがとう」、困っている同僚への「大丈夫?」など、小さな優しさの種を蒔いてみてください。すぐに花は咲かないかもしれませんが、少しずつ土壌は変わっていくかもしれません。
悪口の輪から身を守る
休憩室で「○○さんのこと、どう思う?」と誘われたことはありませんか?
悪口の輪に加わると一時的に仲間意識を感じられますが、長期的には自分も悪口の対象になりかねません。
「そうかもね」と曖昧に応じるか、「私はあまり気にならなかったな」と軽く流す方法も身につけておくと便利です。
信頼できる人に相談する
一人で抱え込まず、信頼できる同僚や先輩、上司に相談してみましょう。「頑張る看護師は一人で全てを解決する」というのは間違いです。
信頼できる先輩や友人、家族に思いを打ち明けてみましょう。時には「今日はつらかった」と言葉にするだけでも、心が軽くなることがあります。
必要なら専門機関に相談する
状況が深刻な場合は、専門機関に相談することも検討しましょう。
状況が深刻で、眠れない日が続いたり、出勤前に体調不良になったりする場合は、専門家の力を借りることも考えてください。
これは弱さの表れではなく、自分自身を大切にする勇気ある選択です。労働問題の相談窓口やカウンセリング、心療内科などを利用することで、新しい視点や具体的な対処法が見つかるかもしれません。
あなたは一人ではありません。多くの看護師が同じ悩みを抱え、乗り越えてきました。今は辛くても、必ず状況は変わります。自分の心と体を大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
人間関係が良い職場への転職を考える
さまざまな対策を試しても状況が改善しない場合は、思い切って転職を考えるのも一つの選択肢です。
人間関係が良い職場には、以下のような特徴があります。
- 新人や若手を丁寧に教育・フォローする体制がある
- 上下関係の風通しが良く、意見交換がしやすい
- スタッフ同士の連携が取れている
- 看護師の表情が明るく、活き活きとしている
- 看護師の年齢層が幅広く、長く働いている人が多い
- 患者さんへの対応が丁寧で温かい
- 適度な忙しさがあり、充実感を持って働ける
人間関係の良い職場を見極めるポイント
転職を考える際は、以下のポイントに注目して職場を選びましょう。
病院見学で雰囲気を確認する
可能であれば、実際に病院見学に行き、スタッフの様子や患者さんとの関わり方を観察しましょう。
スタッフ同士の会話の雰囲気やすれ違うときの挨拶なども、職場環境を知る手がかりになります。
面接で質問をする
面接では、育休や産休の取得状況、教育体制、チーム体制などについて積極的に質問しましょう。
「新人看護師のフォロー体制はどうなっていますか?」「スタッフ間のコミュニケーションはどのように取られていますか?」といった質問が参考になります。
求人募集の頻度をチェックする
同じ病院や部署から頻繁に求人が出ている場合は注意が必要です。
スタッフの入れ替わりが激しい職場は、人間関係などに問題がある可能性があります。
転職エージェントを利用する
看護師専門の転職エージェントは、病院の内部情報に詳しいことが多いです。
人間関係や離職率、職場の雰囲気など、表面からは分からない情報を教えてもらえることがあります。
転職エージェントとの面談で質問すべきことの例を挙げておきますので気になる質問はぜひメモしておいてください????
転職エージェントとの面談で質問したいこと【例】
職場の雰囲気について
- 「スタッフ同士の関係性はどうですか?」
- 「休憩時間はみんな一緒に取りますか?それとも別々ですか?」
- 「看護師同士のコミュニケーションはどんな感じですか?」
離職率と定着率について
- 「この病院・部署の看護師の平均勤続年数は?」
- 「最近1年間でどのくらいの看護師が辞めましたか?」
- 「同じ求人が繰り返し出ている理由は何ですか?」
管理職や教育体制について
- 「看護部長や師長はどんな人柄ですか?現場の声を聞いてくれますか?」
- 「新人へのサポート体制はどうなっていますか?」
- 「質問や相談がしやすい雰囲気ですか?」
働きやすさに関して
- 「有給休暇は取りやすいですか?実際の有給取得率はどれくらいですか?」
- 「残業は多いですか?サービス残業はありますか?」
- 「夜勤の人数体制は十分ですか?」
具体的な事例について
- 「過去にいじめやパワハラの相談事例はありますか?」
- 「実際にその病院に転職した看護師からの評判はありますか?」

まとめ
看護師の職場で「ドロドロ」とした人間関係に悩んでいる方は少なくありません。
女性が多い職場特有の問題や、命を預かる緊張感からくるストレス、人員不足による過酷な勤務環境などが背景にあります。
人間関係の改善には、自分の言動を振り返ったり、相手の看護観を理解しようと努めたり、適度な距離感を保つなどの工夫が必要です。
それでも状況が改善しない場合は、転職という選択肢も検討してみてください。
人間関係が良い職場で働くことで、看護師としての能力を十分に発揮し、やりがいを持って働くことができるでしょう。
